ベジガール

ベジ20代女性。大学で動物倫理・ビジネス専攻。

突然世界中の人がベジタリアンになったら?

みなさんこんにちは。

 

ベジの人たちの中には、ベジを広める活動をされている方もいらっしゃいますよね。

尊敬します。

 

そうでなくても、自分がベジだったら、

「みーんなベジだったらいいのにな」

って思うこと、ありますよね。

 

友達とご飯食べに行くときとか、とっても楽しそう…。

(実は、めんどくさいと思われそうで、ベジじゃない友達とはあんまりご飯に行けない…)

 

BBCに、『突然世界中の人がベジタリアンになったら?』(原題:What would happen if the world suddenly went vegetarian? )という題の記事が掲載されていました。

勉強になることが書かれていたので、私が翻訳したものを掲載します。

意訳かつ少し短くまとめています。

 

 

人々は様々な理由でベジタリアン(主に卵・乳製品を除く動物性食品を摂らない人)になる。動物の苦しみを緩和するため、もっとヘルシーなライフスタイルを追い求めるため、サスティナビリティやCO2排出量の削減のためなどである。肉の消費を減らすことにはいくつもの利点がある。そして肉の消費を減らす人が多いほど、グローバルなスケールでその効果がより明らかになる。しかし、すべての人がベジタリアンになったら、多くの人々に深刻な不利益が起こるかもしれない。

 

 コロンビアのInternational Centre for Tropical Agriculture(CIAT)のAndrew Jarvisによると、先進国ではベジタリアニズムは様々な環境メリット、健康メリットをもたらすが、発展途上国では貧困の面で悪影響が起こる。JarvisとCIATの他の専門家は一夜にして肉が食卓から消えるとどうなるかの仮説を立てた。

 

 まず、気候の変化である。食料生産の過程でのCO2排出量は、世界規模で人間が原因で排出されるCO2量の4分の1から3分の1を占め、これらの責任の矛先は家畜産業に向いている。このことを除いても、我々の食の選択が気候変化に与える影響はしばしば軽視されている。アメリカでは、例えば、平均的な4人家族は2台の車の使用よりも肉を食べる事によってより多くのCO2を排出している。しかし、ふつう地球温暖化について議論がなされるときに話題に挙がるのはステーキではなく車である

 

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 オックスフォードマーティンスクールFuture of Food programme(食糧計画の将来)のMarco Springmannと同僚たちは2050年までにすべての人がベジタリアンになったら何が起こるかを予言するコンピューターモデルを作った。このモデルが導き出した結果によると、赤身肉の排除の大きな効果により、食べ物が原因のCO2排出量は約60%まで減少するという。代わりに世界中の人がヴィーガン(すべての動物性食品を摂らない人)になると、CO2排出量は70%あまりになるという。

 

 食料、特に家畜はまた、多くの空間を要する。それは土地改良によるCO2排出と生物多様性の劣化を引き起こす。世界の推定500億ヘクタール(1200億エーカー)の農業用地の68%が家畜に使われている。我々みんながベジタリアンになれば、理想的には、最低でも80%の牧草地をCO2を吸収して将来の気候変化を緩和する芝生や森林に返還できる。牧草をもとの生息地に転換することは、生物多様性の面でもメリットがある。残りの10~20%の牧草地は食糧供給の穴を埋めるための作物を育てるために使える。これによる農業用地の拡大は比較的小規模ではあるが、これは食肉の欠如を補填するものとなるだろう。現在作物に使われている土地の3分の1では、人間ではなく家畜の為の作物が生産されているからだ。

 

 かつて家畜産業に従事していた人々は、新たなキャリアに移行するサポートが必要になるだろう。特に産業とのつながりが深い郊外のコミュニティでは動乱や非雇用問題が起こる可能性がある。彼らの中には環境目的の家畜の保護を仕事とする者もいるだろう。エディンバラ大学の社会生態学システムモデル教授Peter Alexanderによると、動物をすべて排除することは、生物多様性に悪影響を与える可能性もあるからだ。ケンブリッジ大学で食料需要と生物多様性のバランスを研究するBen Phalanによると、家畜なしでは、ある特定の環境は人々にとってほぼ居住不可能になってしまう。世界の土地の約3分の1が乾燥または半乾燥地帯で構成されており、畜産しかすることができない。かつて、サヘル(南サハリと赤道北に位置する巨大なアフリカの東西にのびるエリア)を家畜の牧草地から作物用農地へ変えようとしていたとき、結果として砂漠化と生産性の低下が起こった。特にモンゴル人やベルベル人といった遊牧民族は家畜を奪われると、永久に都市や都会に定住しなければならないだろう。おそらくその過程で文化的アイデンティティも失う。肉は歴史、伝統、文化のアイデンティティの重要な一部である。肉を完全に断つことの文化的影響はとても大きく、そのため肉の消費を減らすことはしばしばためらわれる。

 

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 健康への影響も複雑である。Springmannのコンピューターモデル研究が示すように、2050年までにすべての人がベジタリアンになれば、冠動脈心疾患、糖尿病、発作、癌の減少により、世界規模で死亡率の6~10%の減少が見込める。赤身肉の排除は死亡率減少の要因の半分を占める。その他は人々が摂取するカロリーの縮小と果物や野菜の摂取量の増加である。世界中に広まるヴィーガンの食生活は以下の利益を拡大する:世界的なベジタリアニズムは年に700万もの死を防ぎ、ヴィーガニズムでは推定800万にも及ぶ。食事由来の心臓病で苦しむ人は減り、それは医療費の削減にもつながり、約2~3%のGDPの削減になる

 

 しかし、これらの計画された利益を得るには、肉を栄養学的に適切な代替品で置き換えることが必要である。動物性食品は穀物や米といった植物性食品よりもカロリー当たりの栄養素を多く含む。したがって、適切な代替品を選ぶことは、特に世界の推定200万人超ともいえる栄養不足の人々にとって重要である。世界的にベジタリアンになるのは先進途上国に健康危機を引き起こす可能性がある

 

 このようなメリットを期待するために、全世界がベジタリアニズムやヴィーガニズムに変わる必要はない。その代わり、肉を食べる頻度と量の節度が鍵である。ある研究によれば、単にWHOの推奨食事基準に従うだけで、イギリスのCO2排出量を17%減らすことができる。動物性食品とスナック菓子をやめればさらに40%の削減になる。食料システムの確かな変化はまた、より健康でエコな食の選択を後押しするとSpringmannは言う。肉に高価な値札をつけ、果物や野菜を安く、より幅広く手に入るようにするなどだ。非効率について取り上げるのもいい。食料の減少や無駄、食べすぎなどのせいで、現在生産されているカロリーの50%以下しか効果的に使われていない。Bentonは、高い動物福祉と環境福祉(利益も)があり、低い生産性があるシステムを持つ方法はあると言う。肉を日用品としてではなく、特別なものとして生産するのだ。この状況では、農場主はまったく同じ給料を得ることができる。ただ動物をまったく違った方法で育てるだけだ。

 

 家畜産業からのCO2排出量を減らすための明らかな解決法はすでに存在している。欠陥しているのは、これらを実行する意思だ

 

元記事

www.bbc.com

 

 

 

食べ物の選択ができる日本のような先進国では、ベジタリアンになることのメリットはかなり大きいということですね。

 

エコだからとエコバックを使って買い物をするのもいいですが、そうしながらステーキや焼き肉を食べているのでは、意味がないですよね。

 

ベジを広める活動は動物愛護的観点から、「かわいそうだから殺しちゃだめ」というものが多いですが、そういったアプローチに嫌悪感がある人には環境メリットで訴えかけるのが効果的だと思います。

 

足りないのは、実行する意思だけ。

ベジの人がもっと増えてよりよい世界になりますように。

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ありがとうございました。