日本のオートマペーパーの私がイギリスで左ハンドルマニュアル車を運転した話。
みなさん、こんにちは。
ドライブにいい季節ですね。(ちょっと遅いか?)
今日は、私がイギリス滞在中に体験した、恐怖の出来事をシェアします。
日曜日の朝。
その日は早く起きてファーマーズマーケットに行く予定で、前日からわくわくしていました。
量り売りのオリーブとか、どっしりしたケーキとか買って、お家で食べるの楽しみだなぁ、なんて思いながら。
戸締りをして、さて出かけようと彼氏さんが車のエンジンをかけようとしました。
…かからない。
静まり返る車内。おもむろに振り返る彼氏。
次の瞬間、頭をかかえてしまいました。社内のライトをつけっぱなしにして、バッテリーが上がってしまった模様。
結局、ご近所さんの車から少し電力を分けてもらい、なんとかエンジンがかかりました。
バッテリーを充電するには、車を走らせる必要があるということで、少しドライブすることにしました。
保温マグにお茶を入れて、せっかくだからドライブも楽しもうっと。
しかし、これが悪夢のはじまりだった…
走行すること約15分。赤信号で止まっていたその時。
いきなり静寂に包まれる車内。Sワードを叫ぶ彼氏。
そう、エンジンが止まったのです。道路の真ん中で。
青になる信号。バッテリーがないので、ハザードランプもつきません。
「車を押すから、運転席に座って、ハンドルを動かして」と言って運転席から去る彼氏。
震えだす脚…。これは運転じゃないか…。(いや、ちゃうやろ。びびりすぎ。)
実は私、日本のオートマ運転免許は持っているものの、まったく運転していない完璧なペーパードライバー。しかも、彼氏の車はマニュアル。足元には2つのはずのペダルが3つ…。かつドイツから持ってきた車なので左ハンドル。
海外旅行保険入ってないよね…死ぬかな…(びびりすぎ)
とりあえず彼氏が車を押して、路肩のスペースがあるところに移動しました。
私の心臓はまだばくばく。
その横で両親と弟に電話をかける彼氏。
え、最後のお別れ言ってるん…?(いやいやいや、ちゃうやろ。びびりすぎ。)
(家族が車に詳しいので聞いていただけでした)
(全部ドイツ語で話すから何言っているか9割方わからなかった)
電話を終え、息を切らしながら車を押す彼氏と冷や汗をかきながらハンドルを握る私に、犬の散歩中のおじさんが「大丈夫?」と声をかけてくれました。
近くに丘があったので、丘の上まで車を押して、坂を下ることを利用してエンジンをかけようという作戦を立てました。(車の動く力でバッテリーを充電するため)
その結果…
かかった!
おじさん、ありがとう。さあ、家に帰ろう。
走行すること約3分。赤信号で止まっていたその時。
おわかりでしょうか…。
そう、あの恐怖の静寂。Sワードを叫ぶ彼氏。(2、3回)
今度は交通量も多い道路の真ん中で。
信号が青に変わり、クラクションの嵐。
そんな時、隣にとまった真っ黒な車の窓が開き、中東系の男性がこちらをのぞきこみました。
やばい…罵声でも浴びせられるんじゃ…?と思っていたら。
大丈夫?バッテリーあがったの?一緒に車押してあげるよ!ちょっとそこに車置いてくる!
…神~!
少し離れたところに車を置いた彼らは、全力疾走で戻ってきて手伝ってくれました。
彼らの車があるところまで、彼と、声をかけてくれた男性二人の三人がかりで車を移動させてもらいました。
そして、彼ら、実は自動車修理系の仕事をしているとのこと。
ちょうど、買ったばかりのものすごくハイクオリティなバッテリー充電器を車内に搭載していたらしく、これをつないでもらうと一瞬でばひゅーん!走れるくらいまで充電できました。
これだけでもありがたいのに、念のため、自宅まで後ろから車でつけてきてくれるとのこと!
神々しい…!涙が出てきましたよ。
自宅に到着すると、何かお礼をさせてくださいという私たちに、
「君たちが幸せなら、僕も幸せだよ。気にしないで。」
と、さわやかな笑顔を残して去って行かれました。
あまり治安がよくない場所なのに、こんなにいい人もいるんだなと思った素敵な出会いでした。
ということで、車のライトのつけっぱなしには十分注意しましょうね。
皆さんは、怖そうな見た目の親切な誰かに助けてもらったことはありますか?